【今週の美術館】 ヴァロットン展(二重橋前 三菱一号館美術館)

今年に入ってから、「週1で美術館!」という のをゆる〜く目標にしてやってきました。
2014年も第4コーナーですけれど、美術館レポートを時々記していこうと思います。

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ヴァロットン展

フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)さんについては、今まで全く知らなかったけれど、フライヤーの青具合と、「ヴァロットン」っていう名前の響きのかっこよさ、フライヤー写真の謎めいた感じに惹かれて、長い間、ずぅ〜っと行きたかった展示です。
会期が長かったから、後に後に回してようやく本日行きました。

入場した最初の数点で、「この人は絵のうまい人だ!」と直感するのですが、その直感は後に続く作品を観ていくにつれ「この人は絵がうまくて色んなタッチで描く人だ!」に変わっていきます。

写真は2つ折りのフライヤーを開いたものですが、これだけみても結講いろいろな雰囲気で描いておりますでしょう?(生でみると、もっと違いが明らかになります!)
敢えていうなら、全体を通してのっぺりとしたマットな画面、でも近寄って観るとかなり細かく描きこんでいる。線なのか、色なのかわかりませんが、どこか「硬さ」を感じる風合いからは作者の繊細さが伝わってくるようでした。

モチーフに街の風景や食卓などが多いのですが、こういった生活の絵というのは「描かれた人物」「描いた人物」にそれぞれドラマがあるんだな、ということでした。
例えば公園の風景を描いた絵の中では、話しこんでいるおじさん達や、虫を捕まえている(?)こども達など色々な人達が、思い思いに過ごしています。各人に「ドラマ」があることはいわずもがな、ですが、それを観て描いている作者の眼差しも色々な想いで注がれているのが感じられます。
そして実は、その絵を観ているこちら側も、いつの間にか「描かれた人」「描いた人」にそれぞれ自分を重ねていたりして、そこではまた別の「ドラマ」が生まれているのかもしれません…
三重のドラマの層に浸るのは、なかなか気持ちのよいものでした。

さて、思った通りの、とても楽しい展示でしたから、「自分も描きたい!」欲求が湧いて来て、途中にある美術館の通路(ここは休憩所を兼ねていて、ガラス張りの窓の外には中庭が見えます。そこには思い思いにくつろぐ人々が、それぞれの「ドラマ」を語っています)でしばしスケッチを。
観終わって満足したけれども、描きたい欲求はまた空腹になっていたので、ここでもまたスケッチを。

14.9.10のスケッチ

左:美術館の通路にて
右:観賞後、美術館の中庭にて

いやぁ、イイ感じに絵とやりあった感じで、心地よい疲労感でした。

 

*ところで、ヴァロットンの版画、すごく良かったです。サラッと書いたけれど、実はこれが一番よかった 笑

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